鈴木俊貴著 小学館発行 46判 264頁 2025年
東京大学に「動物言語学分野・鈴木研究室」を立ち上げた筆者による、これまでの研究人生を綴る初の著書、動物言語学の幕開けを宣言する啓蒙書です。大学3年の軽井沢での運命の出会いから始まり、その後一貫して鳥語研究にまい進して新たな研究分野を切り開いていく姿が軽妙なタッチで紹介されています。
面白おかしいエピソードに引き込まれつつも、動物言語学者としての矜持が端々にほとばしる一冊です。たとえば、一つひとつの研究で紹介される知恵と工夫、努力と忍耐は、毎日の野鳥観察の中で我々が「鳥がおしゃべりしているね」と雑談するのと、アカデミアで「鳥は言語を操っている」と証明する間には天地の開きがある、ということを感じ入るに十分です。ぜひ、「ルー語による文法の証明」、「ぼく・ドラえもん」実験などを通して「動物言語学」誕生の物語を楽しんでください。
日本野鳥の会愛媛県支部編集・発行・寄贈 A4判 128頁 2024年
1950年から2024年までに愛媛県内において記録された鳥類をまとめてあります。21目、71科、370種(うち外来種9種)を掲載し、各種について県内における渡り区分や生息状況などを記してあります。
各渡り区分別の種数は、留鳥78種、夏鳥37種、冬鳥89種、旅鳥57種、不定期渡来56種、迷鳥52種、その他1種です。繁殖が記録された、もしくは繁殖の可能性がある種は125種。参考記録種21種、逸出種27種も掲載されています。増減傾向の特異なものについてグラフで示してあり、初記録種については写真とともに観察日が記録されています。
瀬戸内海を隔てた隣の県の様子を知ることができる興味のある本だと思われます。なお表紙の写真は愛媛県の県鳥コマドリの素敵な姿です。