【購入本】
「鳥類学者だからって鳥が好きだと思うなよ。」
川上和人著 B6判 221頁 2017年
会員さんからの「面白いから読んでみて」という推薦で購入しました。軽妙・軽快なタッチで、著者のフィールドである西之島新島や南硫黄島、聟島など、小笠原諸島での調査の様子の他、鳥類学者としての様々な経験や考察が綴られます。NHKスペシャル東京ロストワールドで放映された南硫黄島での調査や筆者が関わった多様なマスコミ報道の裏話は・・・のような視点でも楽しめますし、アニメネタを含めた豊富なたとえ話や事例紹介から、鳥類学者としての矜持や鳥類学者の範疇を超える引き出しの多さを伺い知ることもできます。一読後は、「なるほど鳥好きなだけでは鳥類学者は務まらない、ぢっと手を見る」と言った心境に至ることでしょう。結論として、やはり筆者が本当に鳥好きだということも実感できます。(吉岡透記)
【寄贈本】
「Bird Research Vol.16 December 2020」
NPO法人バードリサーチ発行・寄贈・編集 植田睦之
中西悟堂氏(明治28年・1895年金沢市出生~昭和59年1984年89歳死去。鎌倉霊園に埋葬)
B5判78頁 原著論文①日本の温帯林でのカントウマムシグサの種子散布者としての鳥類の有効性 ②ミサゴ゙の育雛期の食性(岩手県沿岸部) ③ササゴイの繁殖成績と営巣樹種の変化(都市公園) ④積算気温をもちいたウグイスの初鳴きの推定 ⓹鳥類繁殖分布調査報告書から分析した北海道の鳥類の分布の変化 短報①キョウジョシギによるコアジサシ卵の捕食 ②北海道旭川の春の渡り期におけるオオムシクイの通過時期。
「米子水鳥公園事業報告 平成31年(令和元年)度」
中海水鳥国際交流基金財団編集・発行・寄贈 2020年9月 A4判 116頁+資料35頁
平成7年(1995年)開園。平成17年中海の一部として、ラムサール条約登録湿地に。コハクチョウをはじめ100種以上、1万羽以上の野鳥の飛来を毎年確認。鳥類全種全量調査①2019年度確認142種②毎月第2土曜のデータ集計96種のべ15,540羽③注目すべき鳥 ヘラサギ、クロツラヘラサギ、フクロウ、ヤマシギ、アカガシラサギ、イカルチドリ、エゾムシクイ、コサメビタキ、シロチドリ、ビンズイ、ミソサザイ、ハクガン他、④通算確認種数233種(外来種含め236種)⑤コハクチョウ初認10月13日2羽、ピーク11月2日295羽、終認3月18日 12 羽。初確認-ハクガン、ヒレンジャク、ミソサザイ、ビンズイ 特記-クロツラヘラサギ過去最多3羽。
「森の『いろいろ事情がありまして』」
ピッキオ編 A5判184頁 2007年
1971年環境庁が厚生省から独立した記念に日本で初めて「国設野鳥の森」として開設された「軽井沢野鳥の森」。軽井沢を拠点にエコツーリズムを専門とするグループ、ピッキオが野鳥の森の動植物の春夏秋冬を5章50話にまとめた観察記です。お馴染みのシジュウカラやコガラもそれぞれの個体で「事情がある」こと。クロツグミの歌の解読やキセキレイの朝食から夕食の記録など。丁寧な調査、観察が優しい言葉で語られています。コロナ禍の今、この本を片手にエアバードウォッチングもいいかも知れません。